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結局自分が積極的にならないとダメで
前向きに行かないとダメで
とりあえず行動に移してみようと思って
今に至る。
「顔良し頭良し運動神経良し?英語は特に出来るみたいで"英語の戸谷"って呼ばれてるね。家は相当金持ちで、野球部のユニフォームは全部戸谷の家が負担したとか。」
放課後の美術室。
あたしの前でペンをクルクル回しながら苗は話す。
戸谷君のことを。
あたしがとりあえず起こした行動。
『"とりあえず"別クラスの戸谷君のことを知っとこう』という偵察行動。
そして情報源が、戸谷君と同じクラスの苗。
「…へぇ~」
「で、何で戸谷君のこと知りたいの?」
苗が脚を組み替えながらあたしに迫る。
「いや、特に理由は…」
「……戸谷君が好きとか?」
……………。
「………まさかぁ~」
あたしは大袈裟に笑ってみせた。更に苗の質問は続く。
「友達が好きとか。」
「誰を?」
「戸谷君。」
「………」
思考回路が停止する。まさか、と顔が引きつる。
「…そんなことが有り得るの?」
そう聞くと、苗は手帳をパラッと捲った。
「あたしが知ってるだけで、戸谷君のことが好きな子は…えっと……軽く10人はいるね。」
私立羽坂学園…
難易度が高い学園の今年度入学者数は、たったの60人。そしてその約4割を女子が占めている。
つまり…
女子の約半分が、戸谷君を………
「…ちょっとトイレ……」
あたしはその場を抜け出した。
結局自分が積極的にならないとダメで
前向きに行かないとダメで
とりあえず行動に移してみようと思って
今に至る。
「顔良し頭良し運動神経良し?英語は特に出来るみたいで"英語の戸谷"って呼ばれてるね。家は相当金持ちで、野球部のユニフォームは全部戸谷の家が負担したとか。」
放課後の美術室。
あたしの前でペンをクルクル回しながら苗は話す。
戸谷君のことを。
あたしがとりあえず起こした行動。
『"とりあえず"別クラスの戸谷君のことを知っとこう』という偵察行動。
そして情報源が、戸谷君と同じクラスの苗。
「…へぇ~」
「で、何で戸谷君のこと知りたいの?」
苗が脚を組み替えながらあたしに迫る。
「いや、特に理由は…」
「……戸谷君が好きとか?」
……………。
「………まさかぁ~」
あたしは大袈裟に笑ってみせた。更に苗の質問は続く。
「友達が好きとか。」
「誰を?」
「戸谷君。」
「………」
思考回路が停止する。まさか、と顔が引きつる。
「…そんなことが有り得るの?」
そう聞くと、苗は手帳をパラッと捲った。
「あたしが知ってるだけで、戸谷君のことが好きな子は…えっと……軽く10人はいるね。」
私立羽坂学園…
難易度が高い学園の今年度入学者数は、たったの60人。そしてその約4割を女子が占めている。
つまり…
女子の約半分が、戸谷君を………
「…ちょっとトイレ……」
あたしはその場を抜け出した。

