-桃花 side-
ミドリ様の話を聞いて、ショックを受けた。
幼い頃から、私だけが後継者として育てられていたことよりも…
──私の存在が、アオイ様を歪めてしまっていたことに。
なんで、気がつかなかったのだろう。
自立できるようになった時点で、私がこの家を出ていれば、アオイ様は御堂家を継ぐ存在になれていたかもしれないのに……!
…私が、気づいていれば。
私が、御堂から離れていれば。
私が、いなければっ…………
アオイ様は、この家から離れずに済んだのにっ…………!
あまりの悔しさと、自分の無力さに、唇を噛みしめ、頬を涙が伝う─。
「……今まで、酷い扱いをしてごめんなさい。今日からは桃花、あなたが正式な後継者なのよ。だから、これからはあなたのことを──」
「………………ませんっ…」
「桃花……?」
「いりませんっ!後継者の座なんてっ……!いらないのにっ……!」

