【短編】君のことが好きだから

「そんな………っ。陸上が…続けられないなんて………。」

考えれば考えるほど涙が出てくる。

亮斗先輩は、私の頬につたう涙を親指でそっと拭いてくれた。


陸上をしてたから、あんなにキラキラしていた毎日を過ごせていたのに……。

「私は…っ、これから何を……目標に…
生きていけば良いんですか……!?」

涙ながらに私は言った。

「大丈夫だよ。俺が支えてあげるから」

聞こえたのは人事な言葉に感じない先輩の声。
温もりを感じた。

その優しい言葉に私は心をうたれた。

亮斗先輩を見つめる。

爽やかで、優しそうな瞳。

「ねっ?」

笑顔でそう言った。

「はいっ」

私も泣きながら笑った。