亮斗先輩の話をまとめると、

私と亮斗先輩の家は近所で、下校の方面は同じなんだそう。

あの時、私の数メートル後ろを1人で歩いていた亮斗先輩は、私がひかれた瞬間を見たらしい。

急いで私のもとへかけより、救急車に連絡してくれたんだって。




「そう、だったんですね…」

「うん……。あのさ」

亮斗先輩が言いにくそうに話す。

「お医者さんからの伝言なんだけど…。萌音ちゃんは命が助かった。あんな交通事故で命が助かることは、まれなんだ。
幸せだと思ってほしい。
………でも、右足が故障している。手術も不可能なんだって。リハビリしても無駄らしい。それじゃあ、陸上を続けるのは……難しいんだ」

「えっ……」

陸上を続けるのは…難しい?

そんな………。


無意識に涙がこぼれ落ちる。