【短編】君のことが好きだから

「最近、萌音ちゃん元気ないじゃん?前までは、ムードメーカーだったのにさ。なんか、部活が暗くなったっていうか」

「それはないですよ!」

「なんか、辛いことあるんじゃないの?」

まっすぐに私を見ながら言う先輩。

見とれてしまうほどだ。

「なっ、ないです」

そっぽ向きながら私は言う。

「嘘つき」

「嘘ついてません」

私はふてくされて先輩のちょっと前を歩こうとした。

「あのさぁ……」

ガシッ。

いきなり手首をつかまれた。

「えっ?」

私は反射的に振り返る。

「そーやって、悩みをかかてないでほしいんだ。俺も心配してるからさ。
萌音ちゃんは優しいから、弱音とかはかなそうだけど、辛い時は俺に頼ってほしい。必ず、助けてあげるから」

亮斗先輩が言った。
私を見つめながら………。

そんな、優しい顔で見つめないで。

また好きになっちゃうよ。

また悲しくなっちゃうよ…………。

「グスンッ……グスンッ」

無意識に涙がこぼれる。

「ほら、辛いんじゃん」

亮斗先輩は、頭ぽんぽんしながら言った。