詩月は、舞台に上った瞬間。
恐れも不安も緊張も忘れて、ヴァイオリンを奏でた。
ピアノ奏者が誰であろうと、関係ないと思った。
詩月は独奏で弾くヴァイオリンならば、全力で形振り構わず演奏してもいいと思う。
けれど、ピアノとの二重奏だ。
共に奏でる相手がいる。
独りよがりの演奏では、ハーモニーが台無しになる。
詩月は耳を澄ませて、宗月のピアノ演奏を聴く。
高速の高音で鳴り響く、繊細な鐘の音色の心地好さが、詩月の心を揺さぶる。
「ラ·カンパネッラ」をこれほど見事に奏でるピアニストは、他にいないだろうと思う。
全幅で信頼し、音色を委ねることができるピアノ演奏。
このピアノを畏怖し、怯え、必死で追いかけていたことが信じられない。
――今まで何を聴いていたんだ。今まで、周桜宗月の何を観ていたんだ
詩月は全魂こめて、ヴァイオリンを弾く。
恐れも不安も緊張も忘れて、ヴァイオリンを奏でた。
ピアノ奏者が誰であろうと、関係ないと思った。
詩月は独奏で弾くヴァイオリンならば、全力で形振り構わず演奏してもいいと思う。
けれど、ピアノとの二重奏だ。
共に奏でる相手がいる。
独りよがりの演奏では、ハーモニーが台無しになる。
詩月は耳を澄ませて、宗月のピアノ演奏を聴く。
高速の高音で鳴り響く、繊細な鐘の音色の心地好さが、詩月の心を揺さぶる。
「ラ·カンパネッラ」をこれほど見事に奏でるピアニストは、他にいないだろうと思う。
全幅で信頼し、音色を委ねることができるピアノ演奏。
このピアノを畏怖し、怯え、必死で追いかけていたことが信じられない。
――今まで何を聴いていたんだ。今まで、周桜宗月の何を観ていたんだ
詩月は全魂こめて、ヴァイオリンを弾く。