「ねぇ…美夏ケンカしたの？」
「ううん…昨日から変なの…。」
「いきなりあんなんになるわけないじゃん！なにあったの？昨日。」
「昨日…？昨日は名前聞いて…あたしたちが中学校同じだって聞いて…それぐらい？」
「ほかに！！」
怒ったような顔で見てくる真穂。
「…ほか？」
「うーん…悲しい顔してた時とか…なかった！？あれは重症の顔だよ！！」
「…あ…好きって言われた…。」
「それで！！」
「それで…冗談でしょって…あたし好きじゃないし…って言った。」
「ハァ！？バッカじゃない！！美夏！！」
「え？…なんで？…だって冗談に決まってんじゃん…。」
「相手の顔見て冗談じゃないかどうかぐらいわかんでしょ！！」
「だって…！」
「美夏が…そんなにわかんない人だと思わなかった…。美夏…あたしがかいやんの事で迷ってる時期に何て言ったか覚えてる？」
「え…？」
「『相手の顔見ればわかる』って…そう言ったんだよ？」
「…。」
そういえば…そうだ。
「一番わかってないの、美夏何じゃない？」
「…。」
「美夏…あの子といて最近おかしくならない？」
「…え。」
「胸が気持ち悪くなったり、ドキドキしたり…なかった？」
「…あった。」
「それ！！」
「？」
「それが恋したって信号！！」
「恋の信号？…そんなのどの医学書にも載ってなかった…。」
「ちがうよ！！それは医学書に載ってるものじゃないよ。恋は本ではわからないんだから。」
「…。」
「美夏は、あの子が好きなんだよ！！」
「…好き…？」
「うん！そうと決まったら行け！！」
「…？」
「あの子のとこ！！まだ間に合うよ！！」
「…でも…。」
「気持ち！！伝えてきな！！」
「…うん！！ありがと…真穂。」
「どういたしまして～。」
あたしはとにかく走った。
