翼の音色

翌日、授業内容が頭に入ってこなかった。

天野くんの演奏が頭から離れなかった。

なんとか授業を終え、職員室へ急ぐ。


1年生のホームルームが終わっていないことを確認し、鍵を借りにいった。


「失礼します。2年の小桜です。おんが…」

「音楽室の鍵だな?分かってるよ。 はい。」


先生たちも放課後に私が来たら、“音楽室の鍵を渡せばいい”とわかっているようだった。


「ありがとうございます。失礼しました。」

鍵を受け取ると、急ぎ足で音楽室に向かった。