信号機の音は無慈悲に響く

「何があったんだよ……直斗!」


そうだ、この中で一番辛いのは、剛のはずだった。俺は別段、直斗とは仲が良かった訳ではない。だが、剛は別だ。剛はどんな奴にも友達として接した。多分、仲が悪い人なんて居なかったんじゃないか。そんな剛が、ましてやクラスメートである直斗の身に起きた事故を悲しまないはずがなかった。


「皆さん、下がってください!下がって!」


やはり、警察が介入してきた。まあ、当たり前だろう。そもそも、犯人は直斗を轢いたまま、逃げてしまったのだ。


「剛、菜々子、帰ろう……」


「……ああ」


「……帰ろう」


これ以上ここに居ても仕方がないので、俺たちは沈んだ空気のまま、誰とも話さずに帰った。帰り際、信号機の音がやけにはっきりと聴こえたような気がした。