「悟、久しぶりに一緒に帰ろうぜ」


「ねね、一緒に帰ろうよ~!」


「ん……まあいいけど」


あいも変わらず、きゃっきゃとはしゃいでいる菜々子。いつ見ても可愛らしい。対する剛は、いつも眉間にシワが寄っている。同年代とは思えないほどである。口調は荒いが、こう見えて仲間のことを第一に考えていて、クラスメートには常に頼られる存在だった。かくいう俺も、いつもクラスを束ねていた剛のことが好きだった。


「どうした悟。早く帰るぞ」


剛の声を聞いて、はっとなった。剛と菜々子は不思議そうにこちらを見ている。俺は慌てて鞄を自転車のカゴに入れると、自転車に跨った。


「ごめんごめん。じゃあ、帰ろう」


「……ああ、行こうぜ」


「本当、遅いよ悟~!」


「だからごめんって言ってるだろ!」


俺たちは3人でふざけあいながら、一緒に帰った。