「おーい、みんな!これで全員集まったみたいだから、そろそろ行くぞ~!」


そう言って、剛も自分の自転車に跨ると、カラオケのある方向へと漕ぎ出した。すると、それぞれ、違うタイミングで了解の意を表すと、個々で移動を始めた。どうやら、遅れたのは俺だけのようである。俺もそろそろ移動を始めようとペダルに足を掛けると、いかにも女の子が乗るような、可愛らしいピンク色のデコチャリに乗った菜々子が近付いてきた。


「遅かったね~。どうしたの?」


俺は、その言葉を聞いて、頭に手を置きながら苦笑した。


「ちょっと準備に手間取ってね」


「へ~……何か、悟らしくないね。いつもは時間にルーズなのに」


俺はそんなイメージなのだろうか。別に、自分では時間にルーズなつもりではないのだが。