信号機の音は無慈悲に響く

それにしても、何故野次馬が集ってきているのか分からない。再び、嫌な予感が増した。俺は現場へ向かうと、野次馬を掻き分けた、中央へ向かった。


「……くっ!?」


な、何だ。この猛烈な血の臭いは……!


正直、見たくはなかったが、流石に状況が分からないため、どうなっているのか確認するため、再び、野次馬を掻き分けながら、この臭いの原因の元へと向かった。


「……剛?」


だが、それは思いがけないものだった。それは、形が分からないくらいにグチャグチャに脳漿と内臓、それに大量の血を撒き散らしながら死んでいる剛の無残な姿が、そこにあった。俺はさっと血の気が引いていくのが分かった。


ど、どういうことだよ……?何で剛が……死んでるんだよ!


俺は野次馬の群れから抜け出し、野次馬の中の数人からの制止も聞かずに、ゆっくりとした足取りで、剛の残骸へと向かった。