そして俺は、再び男の方へと向いた。いや、正確には、男が居たはずの場所を向いた、だった。まるで神隠しにでもあったかのように、男は消えていたんだ。辺りを探しても、何処にも居ない。一体何処へ行きやがったんだ……?


結局、どれだけ探しても見つからなかったから、そのまま買い物を終えて、すぐに家に帰った。俺は、あの言葉を忘れようと、そのままベッドに入り、眠ろうとした。


だがやはり、眠れかった。あの男の言葉が、ずっと頭の中から離れなかった。


そして次の日、直斗は車に轢き逃げされ、死んだ。俺は情けないことに、恐怖に打ち震えたよ。直斗が死んだ悲しみよりも、恐怖が勝るなんてな……俺は最低だよ。


ごめん、悟、菜々子、それに……直斗。全部俺のせいだ。だから待ってろよ、直斗……すぐにそっちに逝くからな……


そして俺は、教室の窓に足をかけると、そのまま飛び込むように、窓から飛び出した。頭から落ちて行く中、俺は直斗のことを想っていた。


本当にごめんな……


そして、俺はそのまま意識を落とした。