「知ってたんだ……」


俺は悟が教室から出て行った後、掠れた声でそう、呟いた。


ごめんよ、悟……実は俺、知ってたんだよな。でも、まさか本当に直斗が死ぬなんて、思ってなかったんだ……


俺は打ち上げの前日、サバイバル用品を買いに行くために、あの横断歩道を通ったんだ。直斗が死んだ、あの横断歩道を……


その時、この辺りでは見かけない、いかにも不審者みたいな格好をした男が丁度、その横断歩道の近くに立っていた。


もちろん、俺は平然とその男を横切ろうとした。だが、その時、丁度俺がその男の横を通ろうとした時、俺に聴こえる程の声でこう呟いた。


「……明日、神奈木直斗はここで交通事故に遭い、命を落とす……」


俺はその時、ギョッとしたよ。何故、その名前を知っているのか。何故、そんなことが分かるのか。不思議でならなかった。