それからも先生の話は続き、1限目開始のチャイムが鳴ると、先生の方から今日は休校になることを告げられた。俺は、すぐに帰り支度をし、いまだ沈んだ様子で腕の中に顔を埋めている剛の元に歩み寄った。


「おい、いつまでそうしてるんだ。早く帰ろうぜ」


「……」


だが、剛からの反応はない。


「おい!別に剛のせいじゃ無いだろ!」


「……」


しかし、それでも剛からの返事は返ってこない。俺は、次第に苛立ってきた。


「ずっとそこで何やってんだよ……!」


事件とお前は関係してねえだろうが!


だが、憤りを口から出すのをぐっとこらえ、俺は静かに机の上の鞄を手に取る。


「もう、勝手にしてろよ……」


俺はその一言を剛に発した後、ゆっくりと教室から出て行った。


「知ってたんだ……」


その後、誰も居ない教室で1人、剛はそう呟いた。