さっきまで小雨だった雨が急に土砂降りになってきた。

車を走らせていると俺の目に一つの固まりが見えた。


「っ!おい、悠志。車止めろ」

「へっ?あ、ちょ聖夜!どこ行くんだよ!!」

恋夜の呼びかけにも答えず俺は外へと出て行った。


小さな公園のベンチ。

そこに居たのは、女だった。

小さく丸まって眠る女

この土砂降りの中、傘もささずに1人ベンチに倒れていた。


俺は何故かこいつの手を握った。

まだ少し残る女の暖かさ何故か愛しく感じて、守ってやりたくなった。



女を抱えて車に戻った。

「え!ちょ、どーしたのその子!?」

「いいから、早く車出せ悠志!」

珍しく慌てたような俺の声に二人は急いで車を出した。

「一体どうしたのさその子…」

「わからねぇ…」

顔をよく見てみると、色が白く綺麗な顔をしていた。

ただ、気になるのは右頬のあざ。


こいつは一体どうしたんだ…?