「おい! そろそろ理由を教えてくれてもいいんじゃないか?」
 
 礼雅はやっとここへ来た理由を話してくれて、その理由は二十分前にゴミを出しに行っていた礼雅はゴミ捨て場で母と出会い、映画館へ行く日が今日であることを母は知っていたので、礼雅を家の中に招いた。
 最愛がそのことに対して怒っていると、礼雅は菓子を食べながら最愛を宥めた。

「宥めるな!」
「怒ったら疲れるだろう?」
「そもそも人の家を自分の家のように寛ぐな!」

 最愛がテーブルを両手で叩きつけたので、ヒリヒリと痛む。

「お前もしょっちゅう俺のところへ来ては寛いでいただろう?」
「それは・・・・・・」

 最愛はそれ以上、言葉が出なかった。それが事実だったから。
 小さい頃から最愛は礼雅の家へ遊びに行っては寛いでいた。そのことを最愛も忘れていない。

「朝はそれほど食べられないな・・・・・・」
「ご飯のおかわりをしないのか?」
「する・・・・・・」

 最愛がしっかりご飯をおかわりするので、礼雅は肩を震わせている。

「くくっ、あはははは!!」
「笑うな!」
「だってさ!」

 礼雅は大笑いしたせいで、咳き込んでいた。紅茶をすでに飲み終えていたので、最愛は冷蔵庫の中から小さなペットボトルに入っているお茶を礼雅に渡した。
 礼雅が落ち着きを取り戻したときには残っていたのはお吸い物だけだった。それを全て飲み干し、食器を洗っていた。

「最愛、これから映画館へ行くだろ?」
「行く」
「暗闇の中、俺を襲うなよ?」

 それを聞いた最愛は耳が真っ赤になった。

「誰が襲うか! この馬鹿!」
「元気だな・・・・・・」