深香は映画をここ数年、映画館で観ていないらしい。

「どうしてだ? タイミングが悪かったのか?」
「ううん、買い物にしか興味がなかったからね。可愛いものや美味しいものがたくさん売っているのだから」
「そうだな。それにしても・・・・・・」

 今日は外が雨で明日も続きそうだ。できることなら、明日は晴れてほしいと最愛は願っていた。
 最愛の表情を見て、深香は最愛の気持ちを察した。

「明日は晴れるみたいだよ?」
「本当か!?」
「うん、先日に天気予報を確認したからね」

 最愛は天気予報をまだ確認していなかった。

「だから楽しんでね!」
「ああ!」
「後でちゃんと話をしてよ!」
 
 深香が帰った後にマンションの下まで送っていた最愛は戻る途中で礼雅に会った。

「こんなところで何をしているんだ?」
「深香を送っていたんだ」
「深香ちゃん? そうだったのか・・・・・・」

 礼雅の横を通り過ぎようとした最愛の肩を礼雅は掴んだ。最愛は礼雅を不思議そうに見ている。

「どうかしたのか?」
「お前、このまま家に戻るのか?」

 特に予定がないので、家に向かうつもりでいる。

「・・・・・・そのつもりだ」
「家に帰っても暇だろ? 俺のとこに来い。どの映画にするか、決めようぜ」
「そうだな。時間もわかるからな」

 実は礼雅と二人きりで映画館へ行くことは初めてのことなので、何だか新鮮だった。
 何を観ようかと、前日に礼雅のパソコンで上映中の映画を調べていた。
 
「最愛、決めたか?」
「まだだ・・・・・・」

 そんなに時間が経っていないのだから、もう少し待ってもらいたい。

「いろいろあるな・・・・・・」
「面白そうな映画はないのか?」