深香にとって重要なことらしいが、最愛にとってそれほど重要ではない。

「彼とは兄妹みたいな関係だぞ?」
「それは何度も聞いた。他の人達も聞いたら、同じことを言うよ!」

 小さい頃からくっついて、夜だって出かけたことはあるからピンと来ない。

「関係がどうであれ、女の子は綺麗で可愛くなきゃ駄目よ。せっかくの化粧品だって使わないと泣くよ?」

 メイクが完成した顔を見ると、深香のメイクの技術に圧倒された。

「よく似合っている! 最愛、写真を撮ろう?」
「そうだな。カメラを机にでも置くか・・・・・・」

 高さを調整して写真撮影をして、それを深香と見た。

「綺麗に撮れているね!」
「本当だ。この写真が現像できたらもらっていいか?」
「あげるよ! ちょっとだけ待っていて!」

 深香と二人で撮った写真は久しぶりでとても懐かしく感じた。

「深香は行くのか? 花火大会・・・・・・」

 深香は花火大会には行かず、別の場所へ行く。

「私はこれから知り合いと会うことになっているんだ」
「そうなんだ」

 いろいろやってくれたことに対して、最愛は礼を言った。

「礼雅さん、綺麗になった最愛を見て惚れるかもね?」
「まさか・・・・・・」

 笑いながら外へ出て行くと、噂をしていた本人が待っていた。

「似合っているね。最愛ちゃん」
「ね? だから言ったでしょ?」

 深香が最愛にこっそりと耳打ちをする。

「礼雅さん、この子は方向音痴なので、迷子にならないようにお願いします」
「了解」

 この二人が何だか仲良くなっているようなのは気のせいだろうかと、若干不安になった。