正確に言うと、母の姉の娘のことで、最愛より年下の少女。
　譲った理由はその子が家に遊びに来たときに見せた浴衣に魅了されて、実際に着せてみた。すると、想像以上に似合っていたのでそれを譲ることにした。

「お母さん、他の人が聞いたら勘違いするぞ？　その言い方・・・・・・」
「いいじゃない。見て！　どれも可愛い！」

　目を輝かせる姿を見て、まるで自分の母の浴衣を選んで買うような気分になった。
　浴衣を何着か見ていくと、そこから一着を手に取った。

「それも綺麗ね！」
「本当、いいデザイン」

　ピンク地の浴衣に花が散りばめられていて、プチ兵児帯を使用することで後姿をふんわりと可愛く、前は帯飾りもポイントとなっていて、上品な雰囲気になっている。

「下駄もセットになっているな」
「太鼻緒で足が痛くなりにくいみたい」

　おまけに軽くて丈夫だから何年も履くことができる。

「値段はいくらだ？」
「ほら、安い」

　値段は絶対に二万はすると思っていたら、その半額以下だった。

「お母さんも行くのか？」
「残念だけど、最愛達が行くところじゃないの」
「違うんだ・・・・・・」

　両親で別の夏祭りへ行くと聞いて、改めて仲が良いと思う。

「夜は危ないから、気をつけてな」
「最愛達もね」

　幼い頃に最愛が両親がいる寝室へ行くと、抱擁の上に口付けまでしていた。友達の家庭は喧嘩することが多いか、甘い囁きすらしないことを聞かされて、違いの大きさにショックを受けた。

「思い出した」
「・・・・・・何を？」
「昔さ、私が寝室へ行ったときにお母さん達・・・・・・」