礼雅が興味を示し、最愛のノートを覗き込んだ。

「何語だ? それ・・・・・・」
「ドイツ語」

 大学生になってから、最愛は初めて日本語と英語以外の外国語に触れた。

「難しくないか?」
「思っていたよりは。もっと難しいのかと思っていたら、そうでもなくて面白いな」

 ドイツ語の授業は常に誰かとペアを組んでドイツ語を話すことやドイツの生活がわかる映像を流している。授業を受けていくうちにいつか行ってみたいと思うようになった。
 ドイツ語を担当している先生と仲良くなったので、授業以外のときでも、簡単なドイツ語で話したり、ドイツのことを教えてもらったりしている。

「フランス語のテストはどうだ?」
「高得点の自信がある」

 先日、フランス語の先生がどのくらい勉強しているか、調べるために抜き打ちテストを行った。
 最愛は他の人達より先に解答用紙を提出した。そのときに先生が確認すると、一問だけ間違っていることが発覚した。
 芽実と深香もフランス語で一緒だったので、そのことを言うと二人に怒られた。二人は前から勉強していたのに、何問か間違えてしまったから、最愛が悔しがることに怒りを覚えた。
 フランス語の時間を思い出して頭を抱えた。最愛は未だに後悔の念に苛まれていた。

「あの問題さえ間違えなければ・・・・・・」
「ミスをしたのか?」
「一問間違えなかったら、満点を取ることができていたんだ。でもな、先生が大目に見てくれるそうだ!」

 最愛が一番に終わらせて、先生に提出したときに言ってくれた。

「先生に嘘泣きでもしたのか?」
「誰がそんなことをするか!」