「あんたは邪魔なのよ！　わかんない！？」
「礼雅さんの恋人になる？　誰がそんなことを決めたのよ！？」
「私に決まっているでしょう！？　最愛を潰せばいずれはそうなる・・・・・・」

　なると本気で思っている雛の自信はやはり今までの経験上なのか。

「彼はお前に興味ない。それに・・・・・・今は彼氏がいないのか？」
「まさか！　キープしている男は何人もいるんだから！」

　雛はおかしそうにケラケラと笑っている。

「・・・・・・キープって、何股かけているんだ？」
「二桁はいるかもね・・・・・・」

　深香がそっと呟いた。

「考えられるな・・・・・・」
　
　最愛の疑問に深香が予想した。
　雛が少しでも男に気があるように見せると、ほとんどの男は雛に夢中になった。男受けのいい笑顔を見せて距離を縮めたところでスタイルを武器にすれば、男の心に隙ができる。そこに入り込んで最愛の悪い情報を植えつけてしまえば、後はなるようになった。
　しかしそれが通用しなかったのは二回目。雛にとって許されない失敗だった。

「私が誰よりも一番魅力ある女なの！」
「どこがよ・・・・・・」
「誰もそんなこと思わない」

　雛は胸を張って威張っているが、最愛も深香も彼女がどういう人物か理解しているため、呆れを通り越していた。

「・・・・・・魅力ある女なら、彼も放っておかないんじゃないのか？」
「最愛の言う通りね」
「そ、それは・・・・・・」

　一瞬、雛は言葉に詰まってからまた叫んだ。

「あんたが邪魔しているからでしょ！？」
「人のことを邪魔者扱いするが、何もしていない」
「最愛の言う通りよ・・・・・・」