前に礼雅と最愛は新しい料理を作る話をしていたことがある。隣に深香がいたので、その会話を聞いていた。

「盗み聞きは良くないだろう・・・・・・」
「最愛、目の前で堂々と話していたでしょ!?」
「見ていたか」
「あんたって子は・・・・・・」

 深香は目を閉じて手で顔を覆った。最愛は気にせず、食事を続けている。

「あはは! 仲良しだね。本当に・・・・・・」

 保が水をグラスに注ぎながら笑っている。

「そりゃあ、高校のときから友達ですから! 告白されまくっていたものね」
「うぐっ!」
「ちょっと、何やっているのよ・・・・・・」

 まさかの発言を聞いて喉を詰まらせてしまい、深香に背中を叩いてもらい、保が渡してくれた水を一気飲みした。

「保さんに言わなくていいだろう?」
「昔の話だから問題ないよ! 断っていた理由がようやくわかったよ。礼雅さんがいるから、他の男達に興味がない」
「色・・・・・・礼雅お兄ちゃんは関係ない・・・・・・」

 最愛は思わず、礼雅と二人きりのときの呼び方で呼びそうになった。

「そう? あのとき彼が最愛の名前を呟かなかったら、助けに行くのがもっと遅くなっていたかもしれないんだからね?」
「くっ・・・・・・」

 深香に鼻を指で何度も突かれた。

「告白されるのは嫌だった・・・・・・」
「向こうはこっちの気持ちなんて考えないからね」

 相手が一方的に自分の伝えたいことを伝えて、淡い期待を抱く。
 自分のことをこれっぽっちも理解していない相手ばかりだから、不愉快になる。

「どっかの誰かさんは何度も告白されるから、調子に乗っているんだな」