『耳元で騒がないでよ!!』
「あんたの思い通りになるほど、人生は甘くないわよ! それとこれ以上最愛を傷つけることをしないで!」
『とにかくもう電話しないでよ!』

 一方的に電話を切られて、深香は息を切らしながら伏貫を睨みつけた。

「これでわかった? 自分がどれだけ醜いか」

 礼雅に話しかけられても、伏貫は項垂れて情けなくなっていた。

「ずっと雛ちゃんが好きで信じていたのに。守ろうとしたかっただけなのに・・・・・・」
「ストーカー行為はあの女に頼まれていないの? 本当のことを言いなさいよ。下手に誤魔化そうとしないでね」
「頼まれていない・・・・・・」

 今までしてきたストーカー行為は自分で考えてしてきて、今日も行う予定だったと自白した。
 恐怖で震えている最愛を芽実はそっと抱きしめた。

「もうこいつに危害を加えるな・・・・・・」

 礼雅は最愛達が伏貫から視線を外している間に伏貫の首根っこを引きずってさらに人気のないところへ行き、その直後に大きな打撃音が響いた。
 それから少し時間が経過してから上機嫌になってすっきりとした顔で戻ると、最愛達は身を竦めていた。
 伏貫がどこへ行ったのか、深香の質問に答えず、にっこりと笑った。

「もう帰り道を安心して帰ることができる。二度と会うことはない」
「おい、本当に何をしたんだ?」

 最愛の質問の答えを言わずに、礼雅は最愛に近づく。

「よいしょっと!」
「うわっ!」

 礼雅は軽々と最愛を抱っこしたので、最愛は真っ赤になった。

「二人とも、気をつけて帰るんだよ?」
「私に手を振らせるな!」

 最愛の手を取って、二人に手を振った。このことに最愛は礼雅に軽く説教をした。