電話をかけると、男からだと思っているのか、甘ったるい声が聞こえて顔を歪めた。

「私、最愛だけど・・・・・・」
『はあ?』

 最愛が名乗るとすぐに雛が不機嫌になって低い声になった。

『誰だって?』
「最愛!」
『何か用? 忙しいから早くしてよ』

 最愛の声を聞くだけで電話の相手は態度を変えて、他の人達も顔を引きつらせている。

「私に関するふざけた噂を流しているよな? 理由は何だよ?」

 意外なことに雛は素直にあっさりと認めた。

『だってあいつはあんたにまだ未練があるみたいだし、地味なあんたとは比べものにならないのよ!』
「彼に犯罪を犯すように仕向けたのもお前の仕業か?」
『何の話? どうでもいいわよ、あんな男』

 雛が嘘を吐いている言い方ではなかったので、最愛は別の質問をした。

「彼のことを好きじゃないのか?」
『好きだと本気で思っているの? 扱いやすいから近くに置いているだけで、利用できなくなったらその辺に捨てていいもの!』
「救いようがないな・・・・・・」

 話を聞いていた伏貫はショックで放心状態になっていた。深香が最愛から携帯を取り上げて大声で怒鳴った。

「ちょっと! いい加減にしなさいよ!」
『もしかして深香?』
「そうよ! 私も全部聞いていたけど、あんたは何様のつもりよ!?」

 かなりの大声で怒鳴っているので、最愛達は若干引いている。