「ちょっと来い、早く!」
「ひ、引っ張るな! おい、やめろ!」

 人気のないところへ無理矢理連れて行かれて、着いた先は学内にある人気のない建物。彼に押されて壁に背中を強打した。

「うっ!」
「お前がここまで最低女だとは思わなかったよ。雛ちゃんをどこまでも傷つけやがってよ」
「はぁ・・・・・・」

 目の前の男はいつまで彼女に騙されていれば気が済むのだろうか。

「・・・・・・ところでその格好は何だ?」

 そこらにいる不審者と大差がない。見るからに怪しい格好をしている。

「わからないか?」
「わからないな・・・・・・」

 最愛が頷くと、伏貫は急に怒鳴り出した。

「どこまでも鈍感だな! 高校のときと変わっちゃいない!」
「まさかと思うけど、今までストーカーをしていたのは・・・・・・」
「やっと気づいたか。遅いな!」

 ストーカーの犯人は伏貫だということが明らかになった。伏貫は雛からいろいろと嘘を聞かされ、それを信じて、仕返しでずっとやっていた。
 最愛はここである疑問をぶつけて見ることにした。

「授業が終わる時間を知っていたよな? 誰かに聞いたのか?」
「お前と同じ大学に通っている知り合いから聞いた。そいつもお前といくつか同じだからな」

 そうやって調べられていたのかと思うと、寒気が走った。恐らくその友達も誤解しているのか、何も知らないままなのかもしれない。

「噂を流している本人から何を聞いたんだ?」
「今までされてきたことやお前が俺に未練があることも聞いたぜ!」