はっきり言い放つと、最愛の上から退いてからベッドに腰を下ろす。

「まさかこんなことをされるとは思わなかった」
「苛立っていたけどな。態度がおかしかったから何かあるとは思っていたけど、ストーカーって・・・・・・」
「私、聞いたことがない声を聞いたから怖くなって・・・・・・」

 話し終えたときには何を言っているのかわからないくらい小さな声になっていた。

「あのとき話していたのは保だぜ?」
「そうなのか!?」
「ああ・・・・・・」

 でも、前に店で話したときは今のような話し方ではなかった。

「仲が良い奴と話すときはこんな話し方にしているんだ。お前だってさっきから男言葉で話しているだろ?」
「それは予防線のためだ」
「予防・・・・・・?」
「そうだ」

 周囲の男達が勝手に理想を描いて押しつけられないように、男言葉で話すようになったことを説明した。

「俺はそんなことをしない。それより・・・・・・」

 礼雅の真剣な眼差しに最愛は自然と背筋を伸ばした。

「ストーカーに狙われたのはいつだ?」
「大学入って、ちょっと経ってから」
「もっと早く言えよ」

 自分でストーカーを捕まえようとしていることを礼雅に話すと、心底呆れられた。

「馬鹿か? さっきまで俺に襲われていたのはどこの誰だ?」

 最愛は礼雅に馬鹿呼ばわりをされた。自分の姿を見て、何も言い返すことができなくなった。
 礼雅は呆れてものが言えないという態度だった。

「ちょっと、自分がしたことに何とも思わないのか?」
「そんなに強い力でしていないのに・・・・・・」

 おかしいと首を傾げている礼雅を見て、最愛は怒鳴った。

「そういう問題じゃない!」
「隠そうとしても無意味だな」