どんなに力を入れても、礼雅に掴まれた手を解放することができない。

「腕が痺れているんだ。だから・・・・・・」
「そうだな。本気で暴れても俺は構わないから、場所移動するか。ここよりもっと暴れやすいところに・・・・・・」
「い、嫌!!」

 言っていることを理解して逃げようとするが、力の差は大きく、逃げることもできなかった。
 手を引っ張られて寝室のベッドに押し倒された。最愛が足で礼雅の腹を何度蹴っても、痛がる様子はなかった。

「おい! やめろ!」
「本当に暴れ馬みたいだな。俺のことを避けていた理由を言え」

 礼雅は最愛の顎を掴んで、動かないように固定する。

「嫌だ! 誰が言うか!」
「言わないのか? チャンスを自分で投げ捨てるのか?」

 不機嫌な顔を近づけられたので目を瞑った。
 沈黙のままでいると、覆われていた影が遠ざかったので目を開けると、首に柔らかいものを押しつけられている。硬直していると、彼の笑い声がした。

「やっぱり白い肌はいいな」
「触るな・・・・・・」

 首筋から鎖骨を滑るように指先で撫でられて鳥肌が立つ。涙腺が緩み出して今にも泣きそうになりながら、心の中で必死に助けを求めていた。
 
「まだ抵抗するのか? お前の肌を時間をかけて赤くしていくか」
「待て!」

 大声を出そうとすると、手で口を塞がれた。

「むぐっ!」
「もう何もできない。チャンスを捨てたから、俺にされるがままだ」

 移動しながらさっきより強くあちこち肌を吸ってくる。
 どうしてこうなってしまったのか、最愛はどんなに考えてもわからなかった。

「裏切り者になるなんて思いもしなかった・・・・・・」
「・・・・・・何を言っているんだ?」