昼食は家で食べたから、最愛は何も食べる必要がない。
 芽実はまだ食べていなくて、用事か何かで遅れたのかと考えていると、芽実が今までバイトをしていたからだった。

「バイトが終わったから、何か食べに行こうと思っていたんだ。最愛は何かバイトをしているの?」
「いや、していない・・・・・・」

 しかし、以前に短期バイトをしていたので、そのことを教えた。

「時給はどうだった? 良かった?」
「そうだな。時給九百円だった。それに加えて交通費も全額出してもらえた」

 一月末から二月まで販売のアルバイトをしていた。予想以上に忙しく、慌てふためくことがあったが、スタッフの方々に助けてもらって、無事に仕事をすることができた。
 バイトの話をしていると、芽実の腹が鳴った。

「つい話し過ぎたね。えっと・・・・・・うん、これにしよう。ちょっと買うね」

 店に入ってからも芽実は最愛のことを心配してくれていた。さっきまであんなに重い気持ちでいたのに、彼女と話していると、それが少しずつなくなっていった。
 クリームの甘さを感じながら飲んで待っていると、芽実が戻ってきた。

「あれ? 早かったな・・・・・・」

 もっと時間がかかるとばかり思っていた。

「そう?」
「さっきは人が並んでいたのに・・・・・・」

 行列になっているのを見た最愛が何も言えなくなるくらい人が多かった。

「今はそんなにいなかったよ?」
「そうか・・・・・・」
「やっとご飯が食べられる!」