最愛と美鈴はマンションの最寄駅から二駅先にある構内の小さな喫茶店で会った。

「最愛、顔色が悪い・・・・・・」

 それが美鈴の第一声で、最愛は自分の頬に手で触れる。

「・・・・・・かなりか?」
「うん、全然寝ていないでしょ?」
「そうだな・・・・・・」

 睡眠不足が悪化していて、最愛の顔色は不健康そのもの。

「礼雅さんと一緒にいなくて、寂しさを感じているよね?」

 最愛は何も言わなかったので、それは肯定だった。寂しさを感じているのに、以前のように近づこうとしない。

「まだ礼雅さんの話を聞いていないんだよね?」

 美鈴は確認するように、最愛に質問を投げる。

「あぁ・・・・・・」
 
 最愛は目を擦りながら頭を縦に振った。

「ちゃんと話をしないと。最愛は逃げないで向き合わないと・・・・・・」
「それはわかっている・・・・・・」
「だったら!」

 そんな話をしているときに礼雅からメールが届いた。最愛が距離を置くようになってから、いつもより多くメールと電話をするようになった。文面には最愛と話がしたいことが書かれていた。

「やっぱり会いたがっているじゃない」
「だけど・・・・・・」

 最愛が困っていると、美鈴ははっきりと言う。

「拒まなくていい」
「どんな顔をして会えばいいのか・・・・・・」

 最愛は礼雅と何を話せばいいのかわからず、頭を悩ませるばかりだった。

「そのままでいいの。自分の気持ちを素直に伝えたらいいの・・・・・・」
「でも・・・・・・」

 まだ迷い続けている最愛を見ていると、美鈴の携帯電話が鳴り、操作してから水を飲んだ。

「もしも、礼雅さんが最愛を傷つけるようなことを言ったりしたら、あたしのところまで来ればいい。話を聞くし、泣きたくなったら泣けばいいの!」
「美鈴・・・・・・」
「どうしたいの?」