この気持ちをあなたに伝えたい

 あの日から餌打が何度も角重先生とあの場所で同じことを繰り返している。思い出したくもないのに、思い出してしまう自分がいる。

「・・・・・・美鈴?」

 最愛に名前を呼ばれて、美鈴は最愛の顔を見た。

「何?」
「もうすぐだね、美鈴の誕生日」

 美鈴は自分の誕生日が近づいていることをすっかり忘れていた。

「あ・・・・・・」
「自分の誕生日を忘れたら駄目じゃない」
「そ、そうね・・・・・・」

 一週間後に試験があり、英語が苦手な美鈴に勉強を教えるために最愛は美鈴の家へ来ていた。美鈴はカレンダーを見て、何の印もつけていないことに苦笑いした。
 最愛も英語の勉強をしていて、何度も問題を解いていた。

「試験なんてなくなればいいのに・・・・・・」
「誕生日と試験最終日が重なっちゃっているもんね」
「そう! 本当に嫌になる!」

 気持ちが沈んでいる美鈴に最愛は元気づけようとした。

「だけど、嫌なことの次には良いことがあるから」
「そうだと、いいな・・・・・・」

 本当に良いことが来るのなら、すぐにでも来てほしい。それが美鈴の願いだった。

「最愛、休憩しない?」
「もう少し、この問題が終わってから」

 最愛は教科書の問題を解いているところだった。

「真面目だね。最愛も疲れたでしょ?」
「そうね。ずっと勉強をしていたものね」

 最愛と美鈴は休憩なしで三時間勉強をしていた。問題を解いた最愛は休憩後に丸つけをすることにした。
 美鈴は最愛が肩を回している間に、空になったグラスに麦茶を注いだ。

「親が明日の夕方に帰ってくるんだ。最愛、良かったら、泊まりなよ」
「ここで泊まり?」

 最愛は今まで友達の家に泊まったことがない。

「うん。駄目?」
「親に許可をもらうから、待っていて」
「わかった。待っている」