昔を懐かしみながら、両手を合わせて、箸を持った。
 食事中はたくさんのことを話した。学校のことや友達のこと、勉強のことなど。美鈴が興味を示したのは礼雅のことだった。

「礼雅さんの写真を見たい!」
「・・・・・・同じだな」
「何が?」

 数日前に美鈴が最愛に電話をしたとき、礼雅も美鈴の写真を見たがっていた。

「今の電話、誰からだったんだ?」
「高校からの友達だ」
「どんな話をしていたんだ? 随分盛り上がっていたな」
「いろいろだ。昔から仲がいいからな」

 携帯電話を操作するために礼雅が最愛の携帯電話に手を伸ばした。そのことに気づいた最愛は手を払い落とす。

「何をしようとした?」
「写真を見ようと思ってな。電話の友達の写真、あるだろ?」
「見せない」

 好奇心で写真を見ようとするので、最愛は携帯電話を礼雅の手に届かないところに置いた。

「どうして見せないんだ?」
「可愛いからな」

 最愛は余計な情報を漏らしたため、礼雅はさらに身を乗り出した。

「余計に見たくなった」
「駄目だ」

 最愛が拒んでも、礼雅は諦めようとしない。

「名前は?」
「会わせるつもりもないから教えない」

 興味本位で近づいて、美鈴を傷つけられでもしたらいけないから。

「軽はずみな行動で傷つけられたら、たまったものではない」
「わかった」

 礼雅の笑みに最愛は嫌な予感がした。それは見事に当たっていた。

「俺を独占したいから、そんなことを言うんだろう?」
「そんなんじゃない」

 もしかしたらもっと似ている部分があるのかもしれない。
 最愛がくすりと笑った後に携帯電話のデータボックスを開いて、礼雅の写真を美鈴に見せた。