嘘と秘密~空白の恋~

「あ、そうなの」


そう言うと楽器を両手で持ち、ヒラヒラじゃないけどそんな感じで揺らした。


「可愛いでしょ?カタツムリみたいで」


月城さんは楽器を見ながら、にっこり言う。


そんな月城さんの方がかわいい。


「何て名前なの?」


俺は楽器の名前を聞いたつもりだった。


だけど。


月城さんは何を勘違いしたのか意外な答えが返ってきた。


「月城美羽。月のお城に美しい羽」


あ、そっち?


しかも丁寧に漢字まで教えて頂いて…。


俺は思わず吹き出してしまった。