「…そうですか…。…すいません、忘れて下さい」


本郷さんはそれだけ言うと、屋上から出ていった。


俺は呆然とそれを見ていた。


と、ハッと我に返り、ドア付近へと近付く。


落ちていたのは一冊のノートだった。


表表紙に数学と書いてあり、裏表紙には…。


自分の顔が青ざめていくのが分かった。




『2年7組18番 月城美羽』。



…じゃあ、あそこにいたのは美羽…?


…嘘だろ?


俺はチャイムが鳴るまでその場に立ち尽くした。


チャイムが鳴って教室に戻ったのはいいが、どうやって戻ったのかは覚えていない。