「ふー…。」


鈴丸と一緒にテレビを見ながら、横目で直季を見る。



直季は先ほどからテーブルに頬杖をついてため息をついている。



なんだ…?



「鈴丸、ちょーっと降りて。」


「うん。」



恭平が膝の上に乗っていた鈴丸を退かせて直季の座っている椅子の正面に座る。



「なに。さっきからため息ばっかついてるよ。」


「え?あ…。ごめん…。」



声をかけるとハッとした様子で立ち上がった。



「夕御飯の買い物行かないと…」


「ちょっと待て直季。」


「…?」



どこかぼうっとした様子の直季を引き止める。



「何で今日はお墓参りに行かないの。」


「…。」


「ため息の原因はそれだろ?」



直季は恭平を見つめると、無理やり笑って首を振った。



「違うよ。ちょっと疲れてて…。」


「お前は自分が嘘をつくのが苦手な自覚をしろ。ほら支度して。買い物は俺がやっとくから。」


「だから…っ違うってば!」



鈴丸が驚いて二人を見上げる。



「…どうしたの?……けんか、してるの…?」


「っ違うよ!大丈夫。ごめん大きな声出して。」


「直季。…場所変えよう。」


「…ん。」



場所をリビングから自分たちの寝室に移して、恭平がベッドに座った。



「ここ座って。」


「…。」



恭平が自分の隣をぽんぽんと叩くと、直季がそこに座った。



「直季。」


「…って…。」


「ん?」


「だって、あたしは、恭平と結婚してるのに、陽に会いに行けるわけないじゃん…。」



そう言って膝を抱えた直季を見つめる。



…まぁ、そんなようなことを考えてるんだろうなって、予想はしてたけど…。



「よく聞け直季。1つ、俺と陽は親友で、信頼してる。だからお前が陽に会いにいくのに俺は何の心配もしてない。」


直季に向けて人差し指を立てて説明する。



直季が顔をあげた。



「高校の時からしょっちゅう陽が俺にお前を預けたりしてただろ?逆になったって同じ。」


「あ…。」



そうか、と納得した顔を見て、二本目の指を立てる。



「2つ。…陽は、もうこの世にいない。」


「…っ!」



直季が泣きそうな顔で弾かれたように俺を見る。



「…だから、生きてる俺たちがお墓参りするのは当たり前。だろ?」


「…。」


「わかったら支度してさっさと行く。ほら。」



上着を差し出すと、黙ってそれに袖を通した。



「…恭平。」


「ん?」


「…ありがとう。行ってきます。」


「…行ってらっしゃい。」



直季がかすかに笑って部屋の外に出ていった。



「…。」



ばふっとそのまま後ろに倒れる。



「…やっぱ、勝てねぇか…。」



目の上に右腕を置く。



だってまだ直季の中では陽は生きてる。



くっそ…陽のやつ…。



ふざけんな。



「…死んでんじゃねーよ…。バーカ…。」



俺と直季を苦しめた罰は重いぞ。


そっちに行った時には真っ先にお前を見つけてくすぐりの刑だ。



覚悟しておけ。