ざわついていた野次馬たちが、嘘みたいに深・・・と静まり返る。 ヤツは、何が起こったか解らないようでキョトンとしたが、すぐに床に着いた時の衝撃からくる痛みに、その端整な顔を歪めた。 「………おととい来やがれっ」 私は制服の襟を正し、そんなヤツに親指を突き下してやった。 そのまま背を向けで、私は歩く。 人垣が左右に散って、自然と道が出来ていく。 背後で女の子たちの黄色い声が上がったけど、私は、振り向かなかった。