「待って!傘、
持って行って!」

私も慌てて飛び出した。

「いいんだ。
どうせもうビショビショだからさ。」

そう言って、
微笑むと修は走りだした。



そうしてもう一度振り返ると、
大きく手を振った。


雨はもう、
柔らかな霧雨に変わっていた。

ふと見上げると、
雲の切れ間から星が見える。

私は、
下駄とサンダルを片方ずつ履いて
出てきた事に今気が付いた。