「きゃーーーーー!青空くんよ!!」
登校早々、私の鼓膜は、女どもの黄色い声で潰されそうになった。
「「「おはよう!青空くん!!!」」」
「おはよっ」
「「「きゃーーーーーー!!!」」」
再び潰れる私の鼓膜。
うるさい!と叫ぼうと試みてみたものの、今のこの状況に、それは通用しなそうだし……。
西森 青空(そら)。
彼は、スタイル抜群、成績トップ、全てが整った顔、を持ち備えている、この学校一のプリンス。
いかにもわざとらしい笑顔に、キャーキャー騒いでいる女子たちは、まるで金魚の糞のように、毎時間、彼につきまとう。
朝から下校まで。
下手したら、家まで……。