モノクロ世界の俺

久保田さんのゆったりとした運転でパーキングに着く。

「到着致しましたお嬢様、文さま、省吾さま。お気をつけて」
「うん、ありがとう久保田。じゃあ行きましょうか」
「ふわぁ〜…よく寝た、お、着いたか」
「ありがとうございました久保田さん」
「なんのなんの、では私はこれで…」

そう言って黒塗りの車は去って行った。
さて、これからどうする?映画は時間が掛かるし…まあ、服屋あたりに案内すればいいか。

「ゲーセン行こう!ねえ文!」

…いつも思っている事を再確認したが、やっぱりお前は馬鹿なの?

「ええ?しどい、俺泣いちゃう!」

ええい五月蝿い、いいか?今は御霊の案内中なんだ。お前と遊びに来たんじゃない。

「うっ…だって文がここに来んのめちゃレアじゃん」
「それとこれとは―」
「あの〜…葛西くんはこういう所は嫌いなんですか?」

御霊が不思議そうに尋ねてくる。
…く、まだフルカラーに目が慣れてないからチカチカする。

「…く、ああ。俺はこういう人が多い場所は嫌いなんだ、小さい頃からかな?」
「そうなんですか…やっぱり…」
「…?何か言った?」
「あ!いえ!なんでもありませんよ!?ささ、どこに行きましょうか?」
まずは服屋に行こう。

服屋「服べえ」…なんというか、短絡的過ぎないかこの店の名前。
館内マップを頼りになんとかここまで辿り着けた。
御霊と省吾は店内を物色してる、俺はあまりファッションとやらに興味が無いので暇なだけだが。

ふう、と一息ついて辺りを見渡す。
休日ということもあってかなりの人が来館している。
家族、アベック(死語か?)、一人だけ、友達、そんな人たちを眺めていると、ふと見知った顔を見掛ける。

「あれ、ひめ…みや、姫宮じゃないか?」
「………葛西文…くん」
「驚いた、まさか姫宮に顔と名前を覚えてもらってるなんて」

絶対に剥がれない仮面を被ったかのような無表情で俺の方に振り向く。
この見た目完全に中学生な女子は姫宮霙。
(ひめみやみぞれ)鈴木里奈はボスと言われ尊敬?されているが、この姫宮はまさに「お姫様」として多分全校生徒の特に男子の目を集めている。
まあ要するに、とんでもない美少女ってやつだ。

「………む…その言い方は…私が人を覚えられないみたい」