この声、もしかして――。 俺は、隣にいる波瑠に視線を向ける。 「海桜ちゃん?」 呟くように小さく声が聞えた瞬間、波瑠は何かに弾かれたように 走り出した。 俺も、波瑠を追うように走り出す。 この声はサンゴちゃんがアルバイトをしている、Caféの方からか。 サンゴちゃん、あの店長と付き合ってるって言ってたし 変なことになってなければいいけれど……。 俺は嫌な予感が当たらないように願いながら、足を速めた。