まぁ、それもそうか。
彼女の腕の中には、大切そうに包まれた小さな存在がいる。
今は眠っているのか、喚くこともなく大人しく抱かれている小さな王子様。
半年前に生まれたその存在は、俺たちにも癒しの時間を与えてくれていた。
けれど会えるのは、彼らのマンションに行った時くらい。
海桜ちゃんは、連れてきたいって言うのに
波瑠が見せたがらない。
過保護っていうか、なんていうか。
生まれたばかりの頃は、抗体が少ないから外出は控えろと言ってるみたいで
店に連れてきたことは、一度もない。
海瑠(かいる)が産まれてからは、親バカに拍車がかかってる気がするのは
俺の気のせいだろうか。
「いい加減、店にも連れて来いよな」
「まだ、ダメだ。ここにだって連れてきたくなかったんだ。海桜がどうしてもって言うから……」

