『夢見の後に』


濡れた頬に驚きながら
目を覚ます

悲しいからじゃないんだと

そう決めつけて
振り返ったそこは
カラフルな世界だった

夢だけじゃ生きられない
そんなことは分かってる

誰にともなく呟きながら

覚醒しない身体引きずって
鉛色の扉を開けば
僕はもう社会人だ

眩しさに目を細めて
ふらふらと歩いて

冷たく乾いた風に
あちこち叩かれながら
それでも一歩踏み出して

喧騒の中に
ほんの少しの静けさを探すけど

現実は硝子よりも薄っぺらい

馬鹿らしい
そんな一言でガラガラと
崩れてしまうものだから

欠伸して
泣いて
赤く滲む君の目を

僕は見つめて
また歩く