奥様のお仕事

佐伯さんがインターフォンを鳴らした。

「ご苦労様です
今 行きますね」

いつものようにそう返事をする。


「じゃあ 行ってくるよ
おじいさんのことよろしく頼むね」


「はい 安心して」


「ちゃんと 留守番中食べるんだぞ」


「はい」


「帰ってきたら買い物行こう」


「はい 浩一郎もおかしいよ」


「マリンが変だからだよ」



靴を履いた浩一郎が
私を抱きしめた。


「帰ってきたら ちゃんと話すから・・・・・・
どう話したらいいのかずっと考えていたんだ
多分仕事以外の時間も考えてると思うけど」


「そんな無理しないで 優しすぎるんだよ
もっとわがままでいいんだから」


静かに体が離れた。


「行って来ます」
浩一郎が言ったから
すかさず 唇を奪った。


驚く 浩一郎に 満面の笑みで答える。


「いってらっしゃい」


ドアが閉まって 急いでベットに突っ伏した。


「ありがとう 今まですごく楽しかったよ」


嗚咽で呼吸困難になりそうになった。


「愛してる 大好き」


「だけど さよなら」



その日 スーツケースに荷物を入れた。そして
アルバムを寝る前にも見返して 泣き続けた。