「…琴葉は、覚えてないかもしれないけど…。 俺たち、もうずっと前から出会ってるんだ。 入学式の日の朝、学校で。」 入学式の日… それは、私が、真人を好きになった日。 真人も、思い出してくれたんだ… 未だに何も言わない私に不安を感じたのか、だんだんと抱きしめる力が弱くなってくる。 「…こんなこと言われても、迷惑なだけだよな…。時間とらせて、ごめん。それに、今までいっぱい傷つけて…ごめん。」 そう言って真人は静かに私から離れ、ドアに向かって歩いていった。