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え?と驚いた先生がマスクを口から浮かせる。

が、時すでに遅し。

ほんの少し吸っちゃっただけで、心地よい眠たさが襲ってくる。

だけどそれで良かったのかもしれない、結果的には。

病気とは違う胸のドキドキに邪魔されなくて済んだのだから。

「小さ…頃から… 探し てた… おにぃちゃん、やっと… みつけた… 」

『早く大人になって、お医者さんになる。僕が絶対治してあげるから』

大切な言葉、大切な思い出。

あの約束があったからあたし、今日まで頑張れたんだよ。

だけど、それを叶える為にお医者さんになってくれたなんて期待はしていない。

ましてや覚えてくれている保証もない、“甲ちゃん”だから。

それでも、あたしは…

「こぉちゃんが だいすき…!

やくそく… まもって くれ… ぁ リ ガ…」

もう限界。 眠たすぎて話せない…

あとはもう 汲み取って下さい

こんな醜態、貴はきっとからかうだろうな…

薬が回ってボンヤリする頭をフル回転させながら、そんなことを思っていると

「サンキュ… おやすみ」

最後に目にしたのは紛れもなく昔と同じ 優しい笑顔のお兄ちゃん。

“時間の猶予”が短いあたしがあなたと再び出会えたのは 神様からの唯一の御褒美なのかなって時々思うの。

次にあたしが目を覚ます時は、きっと新しいあたしに生まれ変わっているから

その時はまたあなたに会えますか…?


ずっとずっと大好きでした


そして これからもきっと…







でも その日、再びあたしが目を開けることはなかった…