「She call you, Ken」
(呼んでるわよ、ケン)

背中越しにジェイラに声をかけられる。

再び病室に戻るとベッドの上の彼女はゆっくり、でもしっかり言葉を紡いでいく。

「I owe you… my life…」
(命の恩人さんね)

彼女の言葉が重くのしかかる。

自分は何もしていない、寧ろ逃げてしまった。

医師を呼びには行ったが、実際とても怖かった。

強くも優しくもない、ただの偽善者だ。

でもそんな自分にも出来ることなんて、あったのだろうか。

「…Julie, will you go to the prom with me?」
(…ジュリ、プラムに一緒に行こう?)

何でいきなりこんなことを言ってしまたのか、口走った彼自身が一番ビックリしていた。

しかし、それに反して彼女の笑顔は実に穏やかだった。

「I promise you…」
(約束よ)