「そっかー。おまえ矢野とバイト一緒なんだっけ」



「たまたまな」



「へぇー、どうよ?矢野は」



「は?」





ニヤニヤしている柏木。




コイツがこういう顔をする時は、大抵何かを面白がってる時。





「どうよ?って何がだよ」



「だからー、矢野って結構カワイイしスタイルいいじゃん?

一緒にバイトとかしててさー、クラッとこないのかなって」



「クラッと?意味わかんね、するわけねーし」




矢野と俺はただのクラスメイト兼バイト仲間であって、それ以上でも以下でもない。



女とか、意識したことねーし。






「ふーん?まぁ、そうだよな〜」





一人で何かを納得して、俺の肩に腕をまわす柏木。




「お前はあの幼なじみちゃん一筋だもんな〜、名前なんだっけ?」



「…高倉希咲」



「あぁ!そう!希咲ちゃん!!」



「バカやろ!下の名前で呼ぶなハゲ!!」



「痛っ!?おい本気で殴んなよ!!」





あー、コイツに俺の純情な恋心をバラしたのは失敗だったかもな。