「ちょっと返してよ!!」



慌てて取り返そうと立ち上がったあたしの前で、画面を見た一誠の顔が恐ろしく険しく歪む。



そして




「…てめー、ふざけんな?」



「…あぁー!?」




乱暴に返されたスマホを見ると、なんとあろうことか



神谷くんの連絡先が削除されていた…。





「ちょちょちょっとー!
何してくれてんの、あんた!?」



「知らねーよつーか俺以外の男とラインしてんじゃねーよすっげームカつく」




「はぁ!?」





早口言葉か!?
句読点をつけろ!!





「もうわけわかんない!!
一誠のバカ!!」



「おまえが悪いんだろ!?
おまえが俺に断りもなく他の男とデートしたりラインしたりするから…!」



「あんたはあたしのお父さんか!?
ただの幼なじみのクセにどうしてここまで干渉されなきゃいけないわけ!?」




スマホ片手に、思い切り一誠を睨みつける。



すると一誠の顔が苦しそうに歪んで





「…え、一誠…?」





見たことないその表情に、思わず声をかけたのと、ほぼ同時。




強く手首をつかまれたと思ったら、反転していた視界。





「え…?」





背中には、柔らかなベッドの感触。




目の前には、あたしを押し倒すようにして跨っている一誠の顔…






「え!?!?」





ど、どういう状況ですか!?!?