「あ~あ。あんな胡散臭い、幼なじみのエセ王子じゃなくて。



あたしにも現れないかなぁ~、本物の王子様♡」




先生がまだ来ないのをいいことに、机の中から【トキメキ王子物語】を取り出して、ペラペラ捲る。


現国のおじいちゃん先生は、通常の5倍、階段を昇るのが遅い。













あたしは昔っから少女マンガを読むのが大好きで。



一誠には、「こんな男いるわけねーだろ」って100万回くらいバカにされたけど。




でも、やーっと、夢だった女子高生になれたんだもん!




やっぱりこんな理想の恋愛、あたしにもできるんじゃないかって




期待しちゃうよ。





ていうか、してみせる!!!





ピロン♪



その時、あたしのスマホが鳴った。




ラインだ。一誠から…嫌な予感しかしない。





【今日ドーナツ食い行くぞ】



…だから?




【ふーん、お土産よろしく】



【ふざけんな。終わったらE組まで来い】




って、あたしも行くの!?




【なんであたしも…】



まで打ちかけて、やめた。


現国のおじいちゃん先生が来ちゃったから。




はぁ…




昔っからわがままで、自己中心的(主にあたしに対して)だった一誠




最近さらにそれが酷くなってきたような…





あー!先が思いやられる!