「…俺たちもう学校公認だな」
「…だね」
「つーか…むしろ全国的に公認だな。テレビって…」
「…だね」
再び二人しかいなくなった屋上で、ヒュゥ、と風が吹き抜けていく。
「…希咲ほんとよくあんなことしたよな」
「だ、だって…まぁ今思うと、あの時のあたしは色々と情緒不安定だったといいますか…」
「まぁいいや」
急にあたしの肩をつかんだ一誠が、クルッとあたしの体をまわす。
再び向き合ったあたし達に、一誠が優しく微笑んだ。
「…これで希咲とられる心配ねーし」
え、と言いかけた言葉は唇ごと攫われていく。
「…」
「……」
「………」
「……なんか言えよ」
唇をはなした一誠が、ボソッと不機嫌そうに言った。
え…な、何か言えよって言われても。
こ、これが初チューのあたしには一体何て言ったらいいのか全然わからない。
か、感想とか…?っておかしい。それは絶対におかしい。
そうこうしているうちに、また一誠の顔が近づいてきて
「に、二回もするの?」
あたしの疑問にグッと眉を寄せた一誠は
「…お前がボーッとしてるから」
そんな勝手な言いがかりをつけて、もう一度あたしにキスをする。